はじめに閲覧されるべきもの

大切なことを書いたり、書かなかったりします。

おやおや、今日はどこへ行くんですか?

一時間一本系電車
地方のローカル線にガタガタと揺られ、
都会の喧噪を離れ、新緑の森の中へ。
雄大な山々、川沿いの美しい景色。
ふらっと見知らぬ駅で降りて
その地域の美味しい名産品を食べて
人々の優しい心に触れて。
そんなぶらり途中下車の旅


残念ながらそれは幻想です。


首都圏などは走っている列車の本数が多いからこそ
ぶらり途中下車ができるのであって
一時間に一本も走っていない地方のローカル線で
ぶらり途中下車してしまったら
大変なことになります。


トイレもない。
自動販売機もない。
タクシーなどこない。
そもそも人がいない。
次の電車は2時間後。
最寄りのレストランは10km先。


かつて第三セクターによって引かれた地方鉄道は
地域・都市活性化を目的とした都心の鉄道とは異なり、
そこに生活する人々の足として引かれた公共事業インフラです。


だけど
少なくとも「ぶらり」ではなく
腕時計一本と
それなりの下準備
僅かばかりの計画性があれば
旅はきっと楽しいものになります。


ゴトゴトと走る1両だけの電車の窓から
遠くの田んぼのあぜ道で手を振る5人くらいの幼稚園児たちが見えた。


車両内を見渡しても2、3人のおじいさん、おばあさんがウトウトしているだけ。
仕方なく手を振り返す僕。


更に狂ったように手を振る幼稚園児たち。
手を振り返す僕。


田んぼばかりで何もない、一直線の線路で
「プォーン」
と電車から一際大きな警笛が鳴った。


窓からは大興奮する幼稚園児たちが
少しずつ少しずつ小さくなっていく姿が見えた。