はじめに閲覧されるべきもの

大切なことを書いたり、書かなかったりします。

折りしも桜が舞い散り

桜島と溶岩石


『やめろ!
人生は最期の武器だ!
無駄弾を撃つんじゃない!』


しかし、死んでゆきます。


『だから何だというんだ!?
逃げるのか?
あきらめるのか?
一生を闇の中ですごすのか?』


いやです。


『少年の頃、お前はテレビを見なかったのか?』


見ました。


『思い出せ、彼らは絶対の危機の時にどうした?
もうダメだ!というその時、彼らはどうした?
答えろ!』


立ち向かった…。


『ならばお前もそうすればいい、それをやれ!』


デンジャラスK』と呼ばれるプロレスラーがいた。


ジャイアント馬場が設立し王道と呼ばれた名門団体では
四天王とまで言われたトップレスラーだ。


彼は不器用だった。


角刈りに無精ヒゲ。
寡黙で冗談が通じないというギミック(キャラクター)。
キックを主体としたやや単調な試合運び。


前歯は折れてほとんど無い。
いつも歯を食いしばって、全力で技を掛ける。


得意技のパワーボムの後には、
相手の上に完全に乗るようにして全力でフォール。


『俺!絶対勝ちたい!俺!俺!』


そのガムシャラさが、僕はちょっと苦手だった。
あんなに必死になるなんてカッコ悪いなぁと思ってた。


だけど、大人になった今ならわかる。
彼の一生懸命な姿勢が、如何に大事なことであったか。


ましてや、プロレスという独特の世界。
『プロレスの試合は最初から勝敗が決まってる』と言う人もいるだろう。
もし、そうだとしたら、なおさら、
自分が負けると知っていても
あれほどの熱意を出せるだなんて。


僕は自分が絶対負けるとわかっていて
相手に立ち向かっていくことができるだろうか?


彼の試合に対する真摯な姿勢は観客や対戦相手を惹きつけた。
彼は派手な持ち技もなく、地味なキャラクターでありながら、
相手の良さを引き出すのがとにかく上手く
名勝負製造機の異名を持っていた。


ジャイアント馬場の死から一年後、
団体経営陣と選手の軋轢から全体の9割にも及ぶ
選手・職員の大量離脱という事件が起こった。


そのとき、彼の中にどのような葛藤があったのか僕には解らない。
ただ、結果として
彼はその箱船に乗ることを選ぶことなく
残留の道を選んだ。


それは10年前、天龍、冬木の新団体への勧誘を断ったように。

それは20年前、中学卒業後に新日本プロレスのテストに合格するもその選択肢を選ばなかったように。


彼は不器用だった。


デンジャラスK』と呼ばれるプロレスラーがいた。


彼は現在、ラーメン屋『麺ジャラスK』の店主として、自ら厨房に立っている。


僕の食べたラーメンは、僕の涙でしょっぱかった。


『あぁっ!やられた!
愛するものが死にゆく時は奉仕の気持ちになることよ。』


解りかねます、なぜ人間の一生は平等でないのか。


『そんなの当たり前だわ。
生きるってことは不条理ってことよ。
じゃあね、さよなら。』


いやです。


『少年の頃、あなたテレビを見なかったの?』


見ました。


『思いだして、彼らはリアルな悲しみの時にどうした?
愛するものと別れゆくとき、彼らはどうした?
答えて!』


フランダースの犬はその時、すべてを受け入れた…。


『ならばあなたもそうすればいい、それをしなさい!』


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