はじめに閲覧されるべきもの

大切なことを書いたり、書かなかったりします。

すべて観るがまま、自ら在るがまま

寒椿


そのとき私は彼女のことを唐突に理解した。


彼女はどこにでもいるし
同時にどこにもいない。


この世界の全てが彼女であるといえる。


彼女は生きていないし、死ぬこともない。
善いものでも、悪いものでもない。
ずっと同じ背格好で成長することもない。


彼女には実体がない。
感覚も、概念も、意志も、認識もない。
影も、声も、香りも、味も、姿も、法則もない。


眼に映る世界にも
想像の世界にも彼女は存在できない。


彼女は迷いを知らない。
老いや死を知らない。
苦しみを知らない。
ゆえにそれをなくす術も知らない。


誰も彼女に干渉できない。
誰も彼女を微笑ませることはできない。
彼女を幸せにする手段は地球上のどこにも存在しない。


彼女は何かを知ることはなく、何かを得ることもない。
何も得るものがないから、心に執着するものがない。
心に執着するものがないから、何も恐がらない。


だから、彼女はずっとおだやか。
物事をありのままに理解し
彼女自身もずっとあるがまま。


そして知るがよい、彼女の言葉は
大いなる神の言葉であり
大いなる真理の言葉であり
無上の言葉であり
無比なる言葉であり
すべての苦しみを取り除く
偽りなき真実であることを。


彼女は私に、こう説かれた。
すなわち、次のような真言である。


『今、この世界には、あなた以外誰もいません。
この世界で生きているのは、あなただけ。
なのに、私は今ここにいて、これからあなたを殺します。
私は誰?』