はじめに閲覧されるべきもの

大切なことを書いたり、書かなかったりします。

最後から二番目のコイ

今日もいい天気!


屋根より高いこいのぼり。
大きい真鯉はお父さん。
小さい緋鯉は子どもたち。
面白そうに泳いでる。


屋根より高いこいのぼり。
大きい真鯉はお父さん。
小さい緋鯉は子どもたち。
つまりお父さんの隣にいる鯉はお母さんじゃない。
あの美しいあの緋色の鯉はお姉ちゃんだ。


お姉ちゃんは僕たちのお母さん代わりになり、一家の生活を支えてくれている。
お姉ちゃんは学校に通いながら家事も切り盛りし、僕らの面倒も見てくれる。
お姉ちゃんは学校生活のほとんどを僕らのために犠牲にしてくれている。
友達と遊び気行くこともなく、恋に落ちることもなく。
多感な年頃のお姉ちゃんにとって僕らは大きな肩の荷なのかもしれない。


それでもお姉ちゃんは嫌な顔一つ見せず、いつも笑ってくれている。
お姉ちゃんは僕たち家族のために面白そうに泳いでる。


屋根より高いこいのぼり。
大きい真鯉はお父さん。
小さい緋鯉は子どもたち。
その一番で一番上でヒラヒラしているやつがいる。
あれはおじいちゃんだ。
おじいちゃんの霊なのだ。


滝を登る鯉は登竜門をくぐり天まで昇って龍になるといわれている。
おじいちゃんは龍になれなかった。
戦争に行ったのだ。
おじいちゃんは国のため、家族を守るため、龍になることを諦めて、戦争に行く道を選んだ。


戦争で傷ついて戻ってきたおじいちゃんは龍になれなかった。
おじいちゃんは今日も一番上でヒラヒラしている。
おじいちゃんはもう僕ら家族のことが認知できない。
おじいちゃんはもはや自分が何者なのかもわかっていない。
おじいちゃんはもはや鯉としての形を保つことが出来ないのだ。


でも、おじいちゃんは家族と過ごした楽しかった時間を覚えている。
家族との思い出を胸に、おじいちゃんは面白そうに泳いでる。


屋根より高いこいのぼり。
君と僕は遠く離れていても、きっとこの空は繋がってる。


僕は今でも面白そうに泳いげているかな。